2019年4月27日土曜日

映画「チェンジリング」を見て。悪とは。

またもやクリント・イーストウッド監督作品。

本当に彼の作品ははずれが無い。
ハドソン川の奇跡、でもあったように実話ベースの話。
その時々の社会の現実を切り取っている。

細かいストーリーや感想はここには書かないが、とにかく良い。

その他に今回感じたこと。
作品には「悪人」が出てくる。「悪」とか「不正」とかが出てくる。
不正、失敗を隠蔽し、主人公、また他の人々を迫害する警部、精神病院、医者。
自分の保身のためなら、どんな冷酷な事もできる。
どんな不正も隠すことができる。
そして、子供達を惨殺する殺人鬼。
感情的に感覚的には「これはおかしいだろう」と思う。

だが、物語の最後、それは一方的な断罪に見えてくる。
この物語では明らかにはしていないが、
つまり、この断罪される矛先にある「悪」「不正」は
俺の中にあり、また社会にある皆の中にもあるのだ。
イーストウッドはそう言っているように見える。

俺は保身をしないか?
社会の皆は保身をしていないか?
皆、自分のために人を犠牲にした事はないか?
善良である事、それは善良である事と自分を守ることが
相反しない時だけだ。自分を守ることが善良さと対立した場合、
善良さを貫くことはできない。多くの場合。

そして、悪と善も結局くるくると変転する。
その時に善だったであろう者も、次の時は悪になる。
ある方向から見たら悪でも、その中では善になる。

全てが相対的、という訳ではなく、絶対的な物も確かに存在するとは
思うのだが、どれを絶対だと確実にいえる物が今の俺には無い。
しかし、「何か」があるとは思える。

物語の中で「女は」「弱い」というキーワードが出てくる。
弱さ、強さ。
弱者は正義を貫くことができない。結局彼女も周りの強力な助けがあって
なんとか不正をあばく事ができた。

一方、不正を隠蔽していた警察(警部、本部長、市長)も強かった。
だが、正義を貫くことができなかった。
無論、今回のストーリーで言う、悪=怠慢=隠蔽は、彼らの全体的な
功績に比べればもしかしたら小さかったのかもしれぬ。

秩序を守った80点の正義の功績の他の20点の失敗かもしれぬ。
それは俺にはわからないし、現実社会では20点の功績で80点の失敗
のような事例は山ほどあるだろう。

わからない。
わからないが、何かがあるように見える。

真実は霧の中で、いくら探しても見つからないとは思うが
俺は俺の道で真実を追究したいものだ。


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おまけ

1)見終わってから主演がアンジェリーナ・ジョリーと知ってびっくり。
目が大きい人だなあと思ってたが、アクション女優のイメージが
強かったが静かな演技もいい。
キャスティングは誰かはわからないがプロデューサか?
イーストウッドか?いずれにせよ、アカデミー主演女優賞を取っただけの
事はある。

2)音楽にイーストウッドの名前があった。いい音楽だった。
派手ではないが、いい。

3)最近の作品と思ってみたら10年前。 俺にしてみると10年前は
最近だなあ。







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