2019年2月24日日曜日

ミス・技術・世界

技術屋として35年位仕事をしている。
ミスの影響について分析した事を書く。


1.ミスの発生確率
1)単純モデル
ミスは必ず起こる。様々な要因で。
人間的な単純ミス、ハード的な部品故障、設計時の勘違い、
複数の会社の作る部品の納品違い、設計時と製造時の担当部署で
コミニュケーション不足でのカン違い。
とにかく間違える可能性は無数にある。
そしてシステムが複雑、大規模になればなるほど、その間違える
可能性は飛躍的に増大する。

例えばスイッチ、電池、LED、配線、筐体からなるライトを
モデルとして考えてみよう。部品要素は5つだ。

設計フェーズ
世界中に10種類の電池がありそのうち1種類以外だと動かない。
それが5部品あるから100,000種類のうち正しい部品以外を
選ぶと正常動作しない。確率10万分の1だ。
それを検証するには人間が行うが、それには応じた時間がかかる。

製造フェーズ
故障率が1%だとすると部品5個のライトは大体5%は不良になる。

2)複雑化した時
さて、システムが複雑化するとミスの可能性が増大する。
携帯、金融システム、国家システム。

例えば携帯で1000個の部品が使われていたら、上記で言うと
正常動作する確率は10の1000乗分の1。ほぼ異常動作。
そして故障率はほぼ100%だ。
もちろん事前にミスを防ぐシステムはあるし、自動修復する
技術があるからシステムが増えて悪い方向はかりでは無い。
しかし、逆に部品内部でのトランジスタレベルで考えると
1000個とかではなく、数千万個のレベルになるし、
故障自動修復するシステムがあっても、それ自体もミスする
可能性はある。
だから、モデル化する事自体が困難だが、システムが複雑化すると
飛躍的にミスの発生確率が上がる事は間違いない。

そして、システムが巨大化し、金融システム、国家システム、
となると10の数百乗レベルでミスは発生する。

2.ミスの与える影響
ミスの影響は大きく3種類ある。
100万個の場所のうち、1個が壊れたとかミスしていたとしても、
その場所により、システムに与える影響が大きく変わってくる。

1)その場所で現象が発見でき、原因も修復も容易で影響が限定的
 ライトの電池が逆に入っていて、正常な方向にしたら直った、とか。

2)システム全体への影響が少ないので現象がなかなか発見されないが
 壊滅的にはならない。
 例えばPCに入っていた音楽の曲名が文字化けして一部読めない、とか。

3)システムへの影響が甚大で壊滅的。トラブルを予測できない、
 原因の特定が困難か、原因は分かっても直せない。

 携帯のWifiが繋がらない。
 ファストフードでのツイッターテロ。
 消えた年金。
 公害。
 津波時の電源喪失による原発メルトダウン。
 戦争の発生。 少子化による経済の停滞。
 環境汚染物質による生物への影響。
 

3.世界はどう対処しているのか?いたのか?
1)従来
 複雑なシステムの原因を特定、修復するのは、最初に作るより
 難しい。だから正しく機能している(と思われる)
 別のシステムと交換する、というざっくりした手段の方が
 有効、というか、コストエフェクティブになる。

 携帯が壊れた→直すより買い換える
 コンビニがヤバイ→別のコンビニに行け
 国が壊れた→難民となって他の国になだれ込む。

2)問題点
 複数無いものはそもそも選べない

 個人はかけがえの無い個人。
 お母さんは沢山いるが、特定の人のお母さんは1人。
 代わりの機能をさせる事はできるかもしれないが、
 それは機能互換性でしかない。

 人間の考えたシステムは効率化を考慮して一極集中するのが普通。
 市場が成熟すると、経営リソースを集中した方が強いので
 企業が寡占状態になり、選ぶ余地が減ってくる。
 アマゾン、グーグル、セブンイレブン。
 一極集中の弊害はミスが発生した時に代替がなくなってしまう。
 
 地球。グローバリゼーションが進み、地球が一つとなるとそれ以外を選べない