2017年9月25日月曜日

照明操作の考え方

照明操作はわかりにくい、かもしれない。
これは「なぜそれをやる必要があるのか?」概念が掴めないから
ではないかなと思われる。
実際の操作は別として「なぜ?」という概念につき説明してみる。
概念が分かれば「なぜ」それをやらなければならないか?が理解できると思う。

1.まずは簡単な操作
(1)舞台が真っ暗だとする。
(2)センターにスポットが1本当たるようにスポットがセットしてある、
  とする。
(3)スポットと1番のボリューム(フェーダーと呼ぶ)がプログラム
  されているとする。
(4)1番のボリュームを上に上げるとスポットが明るくなり、最低にすると
  真っ暗になる。

2.次
(1)上記1にプラスして上手にスポットがあり、2番のフェーダにプログラム
 されているとする。
(2)1番と2番を同時に上げると両方明るくなり、下げると暗くなる。

3.次&問題点
(1)上記2にプラスして下手にスポットがあり3番にプログラムされているとする。
(2)1,2,3を同時に上げるには手が1本足りない。 1,2を上げて
 その後に3を上げたら目的の照明効果が得られない。ではどうするか? 
4.解決策
(1)照明卓には左右方向に1,2,3というフェーダが並んでいるが、
 その同じ物が1段、2段と上下に並んでいる。
(2)1段目のフェーダーの状態が現在の舞台の照明の状態になるよう、
  照明卓がプログラミングされている、とする。そして2段めのフェーダーの
  状態は舞台照明には「リアルタイムには反映されないようになっている」
  つまり2段めのフェーダーはいくら変えても「今の」舞台の照明には
  全く影響しない。←これが大事
5.実際の操作例:
(1)今がセンターのみ点灯で、次のシーンで、センターが消灯、上手、下手、のスポットが同時に点くようにしたい、とする。
(2)その目的のために1段目のフェーダでは1が最大、2,3とも全て最低にしておく。
(3)2段めのフェーダーは1が最低,2,3は点灯させておく。 しかし、4(1)で
 書いたように、2段めのフェーダー状態は「今の」照明状態に反映しないので、
  やはり舞台はセンターのみ点灯のまま。
(4)さてここで、4項で説明しなかった「クロスフェーダ」という物を説明する。
 これは「上にすると1段目のフェーダー状態を今の舞台に再現されるが、下にすると舞台が暗になる」 という機能のスライダーAと「下にすると2段めのフェーダー状態を舞台に再現されるが上にするとは暗にする」スライダーBの2つが並んでいる物である。
(5)上記は説明しなかったが、4(2)の状態は上記クロスフェーダA、Bが両方上になっている状態である。 再説明するとクロスフェーダAが上なので1段目のフェーダー状態が再現される。しかしクロスフェーダBも上なので2段めのフェーダー状態は反映されない状態になっている。 
(6)さて、これも説明しなかったがAとBの足し算で実際の舞台照明は再現される。
 (5)項の結果は1段目+暗=1段目の状態になっている。現在1段目は1=センター点灯のみ。
(7)次にクロスフェーダーABを同時に下に下げる。ABは並んでいるから1つの手で下げられる。
(8)クロスフェーダAが下がるから1段目の状態から照明は暗に変わる。しかしBも下がるから2段めの状態(2,3が点灯)が今の舞台に反映されるようになり、つまり上手下手が点灯。 実際の舞台の照明はAとBの足し算で行われるので結果は
①センターのみ点灯→②センターが消灯して上手下手が同時に点灯
という事が滑らかに行われる。

6.最後に
(1)上記は概念なので、実際はもっと複雑。しかしイメージはそういう事。
(2)上記は1回の場面変更だが、実際は何シーンもあればシーン分だけ操作を繰り返す
 事になる。
(3)上記はマニュアル卓、なので、上記のような面倒な作業が必要。
 しかし、最近はメモリ卓が多いのでかなり簡単になっている。
 つまり、「次に表示するフェーダ」上記例だと2段めのフェーダーの内容が
 メモリに書き込まれている。(実際は小人さんが書いてくれるわけではないんで、
 事前にホールの人が書いてくれる)操作する人は上記のクロスフェーダABを操作
 するだけで、メモリされた内容が舞台照明として再現できる、という事になる。